帳簿書類等の保存期間について(2025.5.29更新)
税務申告が終わったあと、日々の取引を記帳した帳簿書類等を一定期間保存しなければなりません。
帳簿とは仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などです。
決算関係書類についても、損益計算書、貸借対照表、棚卸表などの保存が必要です。その他、契約書、請求書、領収書なども同様です。
保存期間は個人事業主と法人で異なります。
個人事業主の帳簿の保存期間は7年です。
青色申告を選択した場合は、複式簿記での記帳が原則になります。会計ソフトを使用し日々の取引を記帳して保存しましょう。
法人の帳簿の保存期間は7年です。
しかし、青色申告書を提出した事業年度で青色繰越欠損金が生じた事業年度と、
青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、帳簿の保存期間が10年となります。
保存が必要な帳簿や書類を紙で複数年保存するには、保管場所の問題が生じます。また、保存期間が過ぎて廃棄するとき、
機密書類の専門業者に依頼することになり、費用が発生します。
紙ではなく電子データで保存する電子帳簿等保存制度を上手に利用していきましょう。
所得税の課税ラインの引き上げについて(2025.5.27更新)
これまで所得税が課税されない範囲は給与収入103万円でした。
令和7年度税制改正により、給与収入160万円に引き上げられます。
所得税の計算期間は毎年1月1日から12月31日までになります。
その期間に会社から支払われる給与等の総支給額が「収入」です。収入は社会保険や所得税の控除前の金額を指します。
収入は年末に会社から交付される「給与所得の源泉徴収票」の「支払金額」の欄で確認できます。
今回、所得税の課税されない範囲が引き上げられたことで、働く時間を多くしようと検討される方もいらっしゃいます。
そこで注意してもらいたいのが、住民税や社会保険です。
住民税は給与収入が110万円を超えると課税になります。(自治体により金額は異なります)
社会保険は給与収入が130万円以上になると加入義務が発生いたします。
お勤めの会社の規模によっては、130万円未満でも加入義務が発生する可能性がございますので確認してみてください。
今回の改正により働き方の幅が増える一方で、様々な制度との兼ね合いが生じるため、慎重に検討してください。
また、会社にとっては給与計算業務や年末調整業務が複雑になることが予想されます。
従業員とコミュニケーションをとって、早めに準備していくことをおすすめします。
相続登記の義務化について(2025.5.16更新)
全国に所有者が判明しない土地や所有者が判明しても所在が不明といった「所有者不明土地」が多くあり、
公共工事が円滑に進まないといった土地活用のさまたげになっております。
その問題に対応するため、令和6年4月1日から相続登記の義務化がはじまっています。
相続によって不動産を取得した相続人は、相続の開始があったことを知り、かつ、
その不動産の所有権を取得した日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務化されました。
正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
財産を分けるための話し合いがまとまらない等、早期の遺産分割が難しい場合、
今回新たに作られた「相続人申告登記」という手続きを法務局ですることによって義務を果たすことができます。
不動産を相続した際は、不動産登記にも注意して進めていきましょう。
修繕費と資本的支出 (2025.4.22更新)
貸し付けや事業の用に供している建物、機械装置などの修繕費で、
通常の維持管理や修繕のために支出されるものは修繕費になります。
しかし、資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価値を高めたりする部分の支出は資本的支出となります。
具体的には、建物の非常階段の取り付けなどが該当いたします。
修繕費はその年分の必要経費に計上することができますが、資本的支出は減価償却資産とされ、
耐用年数により各年分に分けて必要経費に計上します。
修繕や改良といった名目によるものではなく、実体によって判断されます。
特に金額の大きいものは慎重に判断しましょう。
ふるさと納税について (2025.4.15更新)
ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄付をした場合に、寄付額のうち2,000円
を超える部分が所得税と住民税から控除される制度です。
12月に検討する方が多いですが、年末は駆け込み需要でサイトが混んで手続きが進まなかったり、
欲しかった商品が売り切れになっていたりする可能性もあるため、余裕をもって検討することをおすすめします。
控除を受けるためには、原則としてふるさと納税をした翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。
確定申告が不要な給与所得者等は、確定申告不要で控除が適用されるワンストップ特例制度を利用する方法もあります。
ワンストップ特例制度を利用した方は、住民税のみの控除となります。
ふるさと納税額が所得税と住民税額を超えてしまった場合、超えた金額は自己負担となってしまいます。
ご自身の収入や扶養人数を慎重に考慮してふるさと納税額を決めてください。
個人事業主の場合、12月は決算月にあたり期末棚卸を実施する必要があります。
棚卸とは、仕入れた商品の店内在庫を集計する作業になります。
飲食業にとっては食材など、美容室にとってはシャンプーやトリートメントなどを、
12月31日時点で商品名と数量と金額を集計していく作業になります。
期末棚卸をする目的は、その年の売上に対応する売上原価を正しく計上するためです。
まだ売れずに残っている在庫はその年の売上原価ではなく、翌年以降の売上原価に算入すべき金額になります。
それゆえ、期末に店内在庫の金額を把握し、その金額を当期の売上原価から除く作業が必要になります。
期末棚卸の金額は、利益や税額に大きく影響することとなるため、税務調査で指摘されやすい項目になります。
在庫とすべき商品が売上原価に計上されていると、利益を少なく申告しているということになり、
加算税や延滞税が課される原因になります。
それゆえ、期末には忘れずに棚卸を行い、正しい売上原価の計上をしてください。